かまじゅう会ブログ(ボードゲーム噺)

沖縄で平日朝からボードゲームが遊べる会の報告用とボードゲームの事を書くブログです。

グレートウエスタントレイルを乗りこなせ!?

今回、日本語版が再販されて4月には拡張が出るという絶好のタイミングで書こうと決意したグレたん(タイトル長いので自分はこう呼んでます)。

 

グレート・ウエスタン・トレイル 日本語版

グレート・ウエスタン・トレイル 日本語版

 
グレート・ウエスタン・トレイル 拡張 北部への道 日本語版

グレート・ウエスタン・トレイル 拡張 北部への道 日本語版

 

 

グレート・ウエスタン・トレイル(Alexander Pfister 2016年 eggertspiele)

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プフィスターさんの要素てんこ盛り重ゲー。

アメリカを舞台に牛を買って、鉄道で運び、より遠くの都市へ出荷するのを繰り返すゲーム。2-4人75-150分。自分が遊んでる環境だと平均2時間いかないくらい。

 

ゲームはかつてないくらいの意欲作だと思います。デッキ構築+すごろく盤面構築+個人ボードにおっさんを雇うことによる拡大再生産。

それに多彩な得点源を用意して、色々な戦略が取れそうな感じに。その反動でルール量はかなり多め。

しかしながらプレイ自体はすごろくチックですっきりしてて遊びやすい印象です。

 

ここまで説明してて思ったんですが、まあ独特ですね色んな意味で。要所(デッキ構築部分や能力アップ個人ボードなど)を1つ1つ見れば、何かのゲームが思い当たらんでもないですが、それらが全て組み合わさってもゲームとして破綻してない絶妙なバランスの作品に仕上げてあります。プフィスターさんの頭の中はどうなってるんでしょうか?(褒めてます)

 

 

自分はこのゲームでしか味わえない独特なゲーム性にとても惹かれてます。何度遊んでも毎回新鮮なプレイ感です。

 

一体このゲームのどこがそんなに魅力的なのか?

かなり長くなりますが、思いつつがままに欠点も含めて書かせていただきますね。

 

 

 

 

 

 

 

グレたんを乗りこなせ!?

 

自分はここまであらゆる要素をプレイヤーに構築させるゲームは遊んだことがありません。

その要素とは、デッキ構築・盤面構築・個人能力構築の3点です。それのどこを伸ばし、どう組み合わせるかをプレイヤーに委ねてます。

それぞれの要素だけでもかなり複雑で、コスト管理もちゃんとやらないといけないので本来苦手な重さなんですが不思議と遊びやすいです。おそらくは、手番ごとにやることは駒を進めた先の建物などでアクションをするだけ、周回毎に短期目標を達成していくのを繰り返すというすごろく方式のおかげだと思います。

その反面、盤面の変化によって方針の変更を余儀なくされる場面がある事はとても癖が強くて合わない人には合わない要素かもしれません。特に3種のおっさんタイルの出方はランダムで、しかしながら戦略に大きな影響を与えるので「こうしたいな」と思ってても望んだおじさんが出てくれなくて、方針転換を余儀なくされる場面も。

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メインボード左下の雇用市場。ここにどんどんおっさんが供給されます。この出方が大きくゲームの展開に影響を与えます。

 

 

 

各要素が複雑に絡み合いつつも遊びやすく、でもどこかいびつな感じ。

 

 

正にカウボーイ!暴れ牛を乗りこなせ!

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プレイヤー同士の駆け引きや、タイル引きの運次第で刻々と変わる盤面に柔軟に対応し、周回毎にどう乗りこなしていくか?

 

これがこのゲームの醍醐味だと思います!

 

 

 

 

 

 

牛さんは超大事。だけれども…グレたん的デッキ構築要素。

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様々な牛さんを集めて出荷する部分。山札から初期4枚を手札に持ってスタート。ゴール地点までに手札を捨てたり、破棄しながらカードを整え出荷します。このシステム自体の仕組みは、普通にデッキ構築です。

だからといって、単純にいいカードを集めていらないカードを破棄して回転をよくしていけばゲームが上手く回るかといえばさにあらず。

何故なら…

・カードが自由に捨てれない!そのためカードの循環スピードが遅い。

・同数同種のカードはそれぞれ1枚しか出荷には使えない。

・牛カードそのものが得点になるので、カードを集めまくるプレイもあり。

・デッキ構築はあくまでもあらゆる要素の一部分。

だからです。

 

このゲーム、カードを使ったり捨てたりする所が最初は少なく、色指定の場所がおおいのでカードの循環がとても遅いです。なので強いカードを買っても使えるのはかなり後になります。

そんな状況でどうするかというと、出来るだけ多くの目に止まってカードを使っていくかカードを圧縮するか、またはその両方を進めていくでしょう。

肝心なのはゴールまでに手札を整えること。そのためにゴール付近に手札を循環する建物を建てる戦法もありですね。

また、そうした手札調整を無視して、とにかく牛を買いまくるのも割と強いのがこのゲームの面白い所(人によっては不満に感じるかもですが)。

牛さんの得点は出荷点でもあり、3点以上のカードには得点もついてます。4・5点の高得点牛を買いまくり牛カードだけで50点くらい稼げます。なので状況次第ではそこに舵を切るのもありです。

 

そして、牛さんカードの最重要な役割である出荷。ゴール地点のカンザスに着いたら手札のカードを捨てて、合計点を出し収入。そしてその点数に応じた都市へ牛を出荷することです。

それによりお金を稼ぎ、個人ボードの円ディスクを外し能力を解放することができます。

 

 

出荷点はまずは10点を目指すこと。そこにいかに早く辿り着くか?というのが序盤の大きな目標

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牛カード一覧。このカードを組み合わせていきます。

初期手札(1と2の4種のみ)は最大7点までしかいきません。なので、最低でも3牛を1匹は1周目で買っとかないと、2周目、3周目が苦しくなってきます。1回目のプレイはおススメ配置の共通建物で遊ぶ事が多いと思いますが、その場合牛買いタイルは中段にあります。その前に人を雇ったり建物を建ててお金がなく牛を買えなかった人は結構辛いセッションになることも…

逆にうまく牛を少しづつ買っていった場合、4周目くらいにカード巡りが良ければ10点以上を稼げます。そうすれば黒ディスクが外せ、手札保有枚数を増やせたり歩数アップできます。これができるようになると楽しくて仕方なくなってきますね。

 

出荷点を周回毎にきちんと上げていく。

 

これがこのゲームを攻略する上でとても大事な点です。1周目は0点都市でも構いません(出荷点以下の都市に出荷できる)。最終的に18点辺りにたどり着けばいいいのですから。

一方でデッキ構築部分はこのゲームにおいて、あくまでも一部分だけということを理解しておかねばなりません。

デッキ構築だけ頑張っても、中々うまくいかないという事はままあるのです。

 

しかしながらこのゲームの凄い所は、それを別の要素で補う事が出来るんですね。1番関わってくるのは、出荷時に使うことができる証明書ボーナス。これを集めておき、点が足りない時は補うことが出来ます。

 

 

1つの要素だけを頑張るよりは、どの要素をどれだけ組み合わせて相乗効果を狙うか?

これがこのゲームの肝な気がします。

 

例えば最大6点分の証明書ボーナスを周回毎に獲得出来る10a建物を建築出来れば、10点に必要なカードは初期手札だけでも充分です。また、列車駒を進めて駅長タイルを取ることが出来るんですがこの中に永続証明書ボーナスがあります。これらを入手すれば手札運に頼らない、より安定した高得点出荷を狙えます。

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写真左下が10a建物です。

 

 

このように、このゲームは複数の要素を戦略次第で組み合わせてプレイする事ができます。それをどのくらいのバランスで組み合わせるか?どこに限られたお金を使うのか?がとても悩ましくて独特の魅力を持っている部分だと思います。

 

 

 

 

 

 

おじさんとお金の管理が悩ましい。何を買っていくかは千差万別なり。

 

このゲームにおいて必要なコストはお金とおじさんですw

お金はあらゆる所で必要です。通行料を払ったり、建物建てたり、牛を買ったり、おじさんを雇うのに必要になってきます。

逆にお金を稼ぐ方法も沢山。通行料をもらったり、指定色のカードを捨てて獲得、そして出荷するときの牛さんカードの合計など。

 

そしておじさんです。カウボーイ、建築士、機関士と3種のおじさんがいます。

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獲得したおじさんは個人ボードに並べます。

カウボーイを雇うと、より高めの牛や効率よく買えることができます。

建築士は建物毎に必要な人数がありますので、建物プレイするためにはある程度は雇わないといけません。

機関士は雇ってる人数が、機関車を進める時に一度に進めるトラック数になります。

 

ユニークなのは特別なボーナスを得られるマスの存在。ここをおじさんで埋めると即時に恩恵を得られるんですが、ここは空けてまた埋めれば何度でも効果を得られるんです。

どうやって空けるかというと、列車駒を線路トラックを進めていくと獲得できる駅長タイル。

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これはコストとしておじさんタイルと交換する必要があるんです。

駅長タイルは即時効果と最終得点ボーナスが得られ重要なタイルです。

自分のリソースに見合った駅長タイルを獲得し、そのために空けた個人ボードにまたおじさんで埋めるというコンボが決まると気持ちいいですよ。

 

ただし、やり過ぎも良くない場合もありますので注意です。おっさんは拡大再生産のための重要なエンジンです。またそれぞれのおっさんは5人以上雇ってゲームを終えると得点になりますので終盤の選択肢におじさん雇い入れも大いにありです。

 

この辺りのコスト管理の絡み具合がたまりません。周回毎に得たお金をどこに当て、どう成長していくか?今何が必要なのか?相手が何を狙ってるのか?をよく考えながら自駒を進めていくことになるでしょう。

 

やはりこのゲームも、

 

お金は大事だよー!

 

ってことですなw

 

あと、

 

タイミングも大事だよー!

 

相手より先を急いだり、逆に牛歩プレイしたりと自駒の調整をして各タイル、カードを購入する必要がでてくるはずです。これとても重要。

 

 

 

 

 

 

 

 

1番悩ましい建築要素。どこにどの建物を建てるかはセンスを問われます。

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自分だけのアクションスペースである、建物。このゲームは共通建物以外の空きスペースに各プレイヤーが自分の建物を建てていきます。

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建物タイルは両面仕様。初回はa面推奨。慣れてきたらランダムでもOKです。共通建物の配置もランダム配置できます。

 

これを自分の戦略や盤面を照らし合わせながら、どこに建てていくのか?

 

これがとても難しいです。自分も未だによく分かりませんw

こんな自分でも1つだけヒントを言わせてもらうと、建物立てたり人を雇う共通建物の前に、交通手形を徴収するタイルを建てるのは大変嫌らしくも有効ですw

 

ここは確実に経験差が出てくる所なんですが、遊んでるうちにどの空き地が重要か見えてくるはずです。そして建築プレイに走りたいプレイヤーは早めに土地を押さえるのが重要になってきます。

コストが高い建物は、建て替え(前の建物との差分のコストで済む)を駆使することになります。将来的には建て替え後の建物になる事を想定して空き地に建てていきましょう。

 

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盤面が建物で埋まる終盤は、歩数アップ能力やスキップ建物が重要になってきます。

 

 

 

 

このゲームにしかない魅力が確かにある。バランスのいびつさは拡張に期待。

大変長くなりましたが、グレたんの紹介は以上となります。

ここまで書いといてなんですが、人は選ぶゲームだとは思います。色々と戦略を試したいのに、ランダム要素のおかげでやりたい事ができない事がありますから。

でも、そこを理解した上で何度でも遊んでやるぜ!と意欲のある人や、ここまで読んでワクワクした人は極上の体験ができるプレイに巡り会えるはずですw

 

日本語版が再販されたこのタイミングで、是非ともチャレンジしてみてください。

 

ゲーム自体は長時間ながら大変遊びやすいすごろくゲームですよ。

 

一方インストは大変ですので、公開されているサマリーなどを参考にしながら、みんなで何周かトラックを試走してから本番という流れをオススメします。

 

再販版は直ってると思いますが、日本語版の初版はルールブックに重大なエラッタがありましたのでご注意下さいませ。遊ぶ前にメーカーのページを念のためチェックしておけば安心ですね。

 

 

そして今年4月に出る拡張でこの遊び味がどう変わるか、とても期待しています。カウボーイ戦略に対抗できる戦略が増えたらいいな。

 

拡張遊んで良かったら、また記事にしますね。